ゴルフの鍛錬と研究
ゴルフの研究を始めたのは離職した66歳からです。なかなか納得のゴルフが出来ませんが継続している成果は表れています。スイング理論を意識し、自分の能力に合わせたフォーム作りに努めています。また健康維持のためにゴルフは大変有効です。ラウンドでの成績は一向に上がりませんが丘陵コースでボールを打つのは大変楽しいものです。
2022/11/2
はじめに
ゴルフの基本は体力とスイングバランスです。体力に応じたスイングで身体の回転を安定を保つことです。
近郊の散歩とコロナ禍で休止中ですがハイキングは足腰の強化に役立ちます。滑らかな動作は力学の法則により作られます。正しい動作は美しく、またボールを遠くに飛ばすことが出来ます。身体の捻転運動は血流を促し循環器系を活性化します。
<項目>
- ゴルフ理論
- スイングの手順
- スイングの要領
- クラブ別スイング
- スイングの症状
- ゴルフのこころ
- おわりに
1.ゴルフ理論
ゴルフスイングの目標はボールを遠くに、かつ正確に飛ばすことです。力学的に言えば出来るだけ速くゴルフヘッドを走らせ、ヘッドのフェース面をスクエアー(直角)にボールに当てることです。
- ゴルフスイングの基本動作は体の回転と平行移動
身体の動きは回転運動と平行動作が合成されたものです。体軸の回転と平行移動が腕とクラブの振りを生みます。身体の回転は足、腰、肩、腕が回ることですが原動力は足の屈伸と胴の捻転です。腰の回転力(トルク)は足の伸縮(蹴り)と腰の回転が起こします。胴体の捻転は肩ガードの回転で生まれ、捩じりの復元力と腰の左回転により大きなパワーが生まれます。安定した回転に大切なのは背骨を芯にして回転し、身体の軸が振れないことです。
-
ボールの初速度はヘッドスピードの2乗とその質量に比例
クラブヘッド速度が早ければ、またヘッドの質量が大きければボールの速度は上がります。しかしながら身体の回転トルクが一定とすると、回転モーメント(ヘッド質量x回転半径の二乗)の関係で回転速度とヘッドの質量の関係に最適値がります。
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腕とクラブの回転は二段振り子
腕は出来るだけまっすぐにしてゴルフクラブをスイングします。クラブヘッドの回転角速度は腰、肩、腕の各回転角速度とクラブの回転角速度が合わさったものです。身体の各部の回転角速度は比較的低速でほぼ一定ですがクラブの回転角速度は加速度的に増速します。
-
ゴルフボールはヘッド面に直角
エネルギーの伝達効率はボールがヘッド面にスクエアーに当たるとき高く、斜めに当たると運動エネルギーはボールの回転エネルギーとなって無駄に消費されます。
2.スイングの手順
クラブを手に持ってからスタンスをとり、クラブを振る動作は決まったシーケンスになります。一例ですがタイミングをとるために「1,2・・・5」と数えることは良いでしょう。1で始動、2,3,でバックスイング4,で完了、5で切り返し、ダウンスイングは6,7となります。スイング動作は車の加速過程のロー、セカンド、トップに例えることが出来ます。
- アドレス
最初の準備はクラブを握り、所定場所に立って(アドレス)スイングの開始を待ちます。アドレスはスイングをするための準備です。アドレスが正しくないとスイング動作に良い結果が得られません。背筋を伸ばし、下腹部を前に突き出し気味にして腰の上部で体軸を前傾します。ボールを置く位置はクラブの長さにより身体の正面を基本として前後しますが、ハンドファーストの位置です。クラブはフェース面に対してシャフトを前側に傾けます。クラブフェース面が正対しするようにクラブを握ります。両足の内ももに緊張感を持ちながら体重を両足に均等に掛け、左足の土踏まずに少し体重を移します。腕はクラブを保持するために働きます。左腕は出来るだけ真っすぐ伸ばし、両腕で三角形を構成します。右腕を徐々に脇を締めてクラブを下から支えます。スイングを通してボールを見続けますが回転軸が崩れないためであり、ボールにヘッドを当てに行くためではありません。
- グリップ
クラブをしっかり握りますが、手首は柔らかくして左手親指の方向に振れます。握力が弱い高齢者はインターロッキングが良い。クラブを両手で均等に挟み、左手の小指、薬指、中指でクラブを確保します。右手は親指、人差し指、薬指でしっかりシャフトを確保します。しっかり握ってスイングの打球のするときに手首が戻る位置であることを確かめます。
- スイングの始動
足と腰の右捻転から始まります。コックは自然な成り行きですがバックススイングの始めで開始、終点で終わります。
- バックスイング
次に両肩を右回転しクラブをスイングプレーンに乗せます。一定の勢いをつけて行きつくところ左肩が顎に接触する位置まで回し、その反動で左回に移ります。
- ダウンスイング
左足を軸に右足を伸ばしながら左腰を引くと尻が左回転することでダウンスイングが始まります。身体の回転速度はクラブの回転に同期するので身体の回転が手首を通してクラブに伝わることを意識します。身体が与えた回転力と慣性でクラブが回転しますが、ヘッドがボールに当たるときクラブヘッド面がボールに直角になることを意識します。
- フォロースルー
最後はクラブが背中の後方に回り込み、スイングは終了します。
3.スイングの要領
一般に人間のスイング感覚は理論と離れたものです。遠くに飛ばしたい気持ちはスライス、フック等いろいろな弊害の原因になります。しかし理論に合ったスイングは美しく、気持ちのよい動作です。
- バックスイング
左腰の押し出しで始動します。
早い時期(回転角30°位)にコッキングを始め、クラブは次第に左手首の親指側に倒れます。手首は適度に固め、スイングプレーンが滑らかになるようふらつかないように体の軸を中心にして回転します。
- ダウンスイング
切り返し位置から打球点までの動作がダウンスイングです。前傾角度を維持し、意識的に起き上がろうとしないであくまでも背骨を軸として回転します。スイングの最終では回転軸が左に移動して左足に体重が乗ります。
切り返しはバックスイングの反動に合わせ逆転回転することから開始されます。大切なことはスイングプレーンを意識して身体の軸を出来るだけ変えないことです。足、腰が砕けると身体が左に動く(スウェー)のでその場で肩を回転する意識が大切です。左足の太ももを緊張し親指を内側に押すようにして地面を把持します。右足を後ろに伸ばし左足に近づけると腰は回転します。右足を伸ばすことでスイング速度が加速します。
- スイングの溜め
逆転が開始した直後はクラブが取り残される重み(溜め)を手首に感じます。腕は肩に連られて振れます。その時、腕を回そうとすると腕と身体の間に遊びができてしまいます。グリップが緩んでも遊びが出来るのでクラブはしっかり保持します。大切なことはバックラッシュ(胴体部と肩のねじりの間の遊び)をなくすことです。
- 身体の回転軸
スイングプレーンは背骨を軸とし打球するまで体軸を一定の傾きに保持します。頭(首筋)は軸にまっすぐか多少右に傾けます。スイングを通してボールを見続けます。回転軸はスイング角の進行に伴い右足を伸ばすので左方に移動します。
- ボールの打球方向はクラブヘッドの走行とフェースの角度
クラブのフェースがスクエアーになる様に打球のタイミングと腕の角度(右腕を捻転する絞りの程度)を調整します。グリップはクラブ面をスクエアーに合わせる動きが求められますが最初に設定したアドレス位置に戻す意識です。バックスイングの初期はクラブ面は開いていますが打撃ゾーンの手前で閉じ、クラブのしなりが戻るのに合わせて左手の角度がアドレス位置に戻り右手の親指、人差し指、中指がクラブのフェース面をボールに正対するようにします。クラブへッドがボールに衝突する直前でボールを叩いたり押したりしてはいけません。
- フォロースルー
ボールを打ってからスイングの終了までのフォロースルーでは回転の勢いで終点に至ります。身体のバランスを保ったまま身体の軸を起こし、クラブヘッドが打球点を過ぎたら腕をほおるようにスイングアークを大きく描きます。それまでのスイングに欠点があると身体が傾いたりのけぞったりします。
- スイング終了位置
スイングの終了位置では左足に体重が移動しクラブヘッドを振り切った状態になります。スイングに不足があると終了姿勢に現れます。右足の伸長が弱いと回転が不足してのけぞりったり、左足の踏ん張りがないと前のめりになったりします。
4.クラブ別スイング
スイングの力学的理論は全てのクラブに共通ですが、それぞれの目的に合わせて造られています。スイングの回転速度はクラブによって異なります。スイング速度(角速度)はクラブの回転モーメントの二乗に反比例します。回転モーメントはクラブ長とクラブヘッドの質量に比例します。クラブ毎のスイング速度比を表に示します。特にドライバーはゆっくりしたスイングであることが分かります。
クラブ |
DR-1 |
SP |
U-4 |
I-5 |
I-7 |
I-9 |
Pw |
速度(%) |
90 |
95 |
100 |
105 |
110 |
115 |
120 |
- ドライバー
ドライバーはシャフトが長いのでスタンスの前傾が少なく、クラブヘッドは最も軽いのですが回転モーメントが大きいので振りにくくなります。アドレスをどっしりとして足腰に力を蓄えグリップはしっかり(強くではない)緩まないようにします。また打球するときクラブフェースがスクエアーになるようにタイミングとシャフトの角度調整は難しいですがく日常の鍛錬によります。ゆっくり振って、溜を生かしたスイングが求められます。
- フェアーウエイウッド
ドライバーと同じ特徴ですが地面の傾斜に対応する必要ためにいくつかの要件があります。
<チェックポイント>
・バックスイングは肩を入れ、ボールに当たるまで前傾姿勢を保ちます。
・切り返し以降も体軸を傾けないでゆっくりしたスイングを心掛けます。
・ダウンスイングの途中での起き上がりはスライスの原因となります。
・手打ちにならないためにはボールを当てに行かないでクラブの振れで打球します。
- ユーテリティー
フェアーウエイウッドとアイアンの性質があります。ウッドのつもりで振ると打球の方向が左にいきます。地面に傾斜がある場合は少し短く持ってスイングします。
<チェックポイント>
・ボールの位置
ヘッドの形状がアイアンに似ているのでボールは両足の真ん中に置きます。
・体軸の確保
フックになりやすいので身体の軸が後方に傾かないようにゆっくりスイングします。
- ロングアイアン
ボールを正確にかつ遠く飛ばします。リズムを一定にして力強いスイングを心掛けます。腰の回転から始動し右足の伸長と左足の緊張を意識します。常にボールを見つめ回転軸がぶれないようにします。
<チェックポイント>
・両足は緊張し体軸を安定します。
・グリップを確認し腕と身体の遊びをなくし適度のタメを意識したスイングをします。
・スイング速度は比較的速いですがクラブ長にあった速度でシャープに振ります。
・腕に力が入るとクラブヘッドが内側にはいりボールがトウ側に当たりやすいです。
- ショートアイアン
短いクラブは小さな間違いは目立ちませんが打球に精度が求められるので基本が大切です。あくまでもクラブは円弧を描き手打ちにならないようにします。アプローチは足の力が緩みがちになりますので右足を後方に伸ばし体軸が傾かない様に気を付けます。切り返し時に溜を意識し、グリップをしっかりします。
- パター
スイングは回転運動に平行動作が合わさったものです。パターのフェースをボールのラインにスクエアーに合わせます。原則は下半身を動かさずに「肩でクラブを振り」ヘッドをボールの位置に戻すだけです。パターの打球マークで打ちます。
<チェックポイント>
・パッテングは振り子運動です。
スイングの安定を得るたまにブランコ動作が基本です。
・スイング中にグリップを緩めない。
左手の手首を固定しっかりグリップし、利き手の右手で打球します。
・目はボールを見ます。
パターがボールに当たるまで左目でボールを見ます。
・パターのフェース面と打球線を確認します。
パターのフェースが打球線と直角にならない原因は
①ボールを打った瞬間のフェース面の捩じれ
②スイング軌道がはずれ芯を外す
いずれの場合も体軸が振れることかパターを握る力の変化です。できるだけ滑らかなスイングを行います。
5.スイングの診断
色々な症状の原因と対策を研究します。スイングの改善はチェックと修正の繰り返しです。そのためには症状を理解してその原因を探すことが大切です。
改めてスイングの要点を記します。
①ダウンスイングは左足を緊張し、右足の伸長と左腰の引き、右腰の突き出しで開始します。
②右足を伸ばし左足につけるようにすることで回転が増速します。
③打球後、回転軸(体重)は右足から左足に移動します。
- スライス
スライスは一番起こりやすい症状です。クラブのフェースが開いてボールに当たることで起こり、クラブヘッドの遅れによる打球面の傾斜が原因です。
①バックスイングで身体の回転が不足するとダウンスイングで身体が右に移動するので回転軸が後方にが傾き、スイングの遅れが起こります。
②足の支持が崩れると回転軸が傾き、クラブヘッドは正しい角度を保てなくなります。特に右足がくの字に折れないことです。
③身体が正面に戻ったときクラブヘッドはアドレスの位置になければなりません。回転加速度が不足すると身体の向きとクラブの位置の位相(タイミング)がずれます。特に長いクラブは適正な角速度が必要です。切り返し直後に回転するトルクが不足すると角速度が低下し打球位置でクラブヘッドが遅れます。また、打球する直前に腕を使ってクラブを押す手打ち動作はクラブフェースが外を向いてしまいます。飛ばそうという「意識」を持たないようにします。
- フック
クラブフェースが左を向いた状態でボールに当たります。スライスと反対の現象ですが回転軸が傾く点では同じ原因です。
①スイング軸が右に傾くと打球が巻き込まれます。基本のスイングを行いましょう。
②アドレス時にクラブフェース面が内側に向いている、または打球直前で手首を返すことでフックします。
腕の振りを過度に使うと打球線が左に向くので身体の回転でスイングします。
- ダフリとトップ、トウとネック
ダフリ、トップの原因は基本的には同類ですが原因は異なります。クラブがインパクトする時に地面に対する高さが正しくないことで生じます。また、クラブヘッドの根元にあたるときや先端に当たる原因はクラブヘッドの前後への位置ずれです。
①スイングの姿勢の崩れ
アプローチショットの時のダフリはスイング中の前傾です。筋力のゆるみ、足腰の崩れが要因です。またグリップのゆるみが原因になる場合があります。
②グリップの緩み、腕の余分の力
クラブヘッドは重量があるのでグリップが緩むと地面を叩くことになります。セットアップ時にクラブを地面につけずにしっかり握ります。落下補正を行うために3から5mm浮かせて保持するのも良いでしょう。
③姿勢の乱れ
ボールが先寄り(トウ側)であたるのはスイング中に腕に余分な力が入り腕を引く動作が原因です。また体軸の揺れにより打球の位置が前後、上下することに気付かないことが多いでしょう。
身体の力を抜いて滑らかのスイングを心掛けます。
- ソケット(シャンク)
特に短いクラブで発生します。クラブフェースが右を向き、ボールの飛球が右に大きくそれる症状です。レイトヒットを意識しすぎて手の返しが遅れてしまう現象です。
①スイング中に腕を前に振って(押し出し)しまう。
②右足がくの字に折れることにより起こります。
足腰の緊張とバックスイングの切り返しに緩まないようにします。
- 再確認と共通事項
・グリップはインターロッキングでしっかりします。
・スイングプレーンを基本として滑らかな回転を心掛けます。
・肩で回転を始めるとバックラッシュ(胴体部と肩のねじりの間の遊び)を最小にするができます。
・ダウンスイングでは右足を後ろに伸ばして左足に近付け、左腰を引くことでスイングが加速されます。
・スライスはスイング軸が後ろに傾くこと、腰の回転が先行することでおきます。
・打つゾーンで腕を振ることは飛距離を減殺するだけでなくスライスになります。
・トップからダウンスイングに移行する際の左手の手首の角度を外側に折らない様にします。
・普段から柔軟体操、素振りで間接を柔らかくすることを心掛けます。練習場ではスイングを確認をします。
・暑さ、寒さにたいして体調管理します。
6.ゴルフのこころ
ゴルフの調子が良い時は体調も良い時です。足腰が弱くなるとスイングはおろかアドレスも乱れます。快適なゴルフ人生は「心の欲するところに従い矩を超えず」そのものです。練習場で体調を確認しスイングチェックします。ラウンドでは無理をしない、成績にはこだわらないことです。良い気候と良い天候は恵です。
<スイングの基本>
・バックスイングで左肩をしっかり顎下まで入れる。
・切り返し時の”タメ”をしっかり取る。
・両脚をしっかり踏ん張り、左足は内側へ、右足を右後ろに伸ばす。
・体軸をできるだけ傾けないでその場で回転する。
<体のチェックポイント>
- 足
足はスイングの原動力です。右足が身体の左回転、左足は身体の右回転の働きをします。足が腰の回転の原動力です。
- 腰
腰は胴体が乗る土台で背骨を中心軸として±90度回転します。背骨を中心として腰が回転すると尻は連れて回転します。
- 肩
バックスイングで一定の角速度で回転し胴体にねじりを与えます。伸びた背筋が切り返しの原動力になりスイングの加速に働きます。
- 腕・手
腕の振りはクラブをスイングプレーンに載せる働きをしますが余分な力を入れずに滑らかな振りが基本です。手のグリップでクラブを確保しクラブヘッドをコントロールします。
7.おわりに
「力学に基づいたスイングの研究」は快適なゴルフにつながります。「健康維持のゴルフ」は生活習慣の一部です。社会におけるゴルフの位置づけは上向きです。年寄りのゴルフ文化、技術の進化展を期待します。
練習場
・私の練習グリーン
・近くのゴルフ練習場で月曜日、水曜日と金曜日の3時から練習しています。
「香川グリーンゴルフ」
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